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猫とタンポポ

  • jille8jiji
  • 2019年6月2日
  • 読了時間: 1分

窓を開けたら タンポポの綿毛が 風に乗って入ってきた その白いフワフワした種が マメコさんの背中に止まった

去年はまだ外猫で

蝶々や蜂を追いかけ回していたあの頃と同じ六月の陽射しが

窓辺の猫と私の記憶を照らす

景色をジッと眺めるマメコさんの背中から綿毛を取り 窓の外に手を差し出すと 綿毛は風に乗って 強い光の中へ消えていった

家に吹き込む風 微かに家猫の毛が揺れる 私は猫の頭のニオイを嗅いだ 深く嗅いだ 猫の頭は 日なたの土のニオイがした 小さな猫の頭に手のひらを置くと それはとても暖かく 可愛い猫ちゃんでも か弱き小さな猫でもなく ただただ生命そのものだった

マメコさんがニャーと鳴く ご飯の時間だ 勢いよくご飯を食べるマメコさんの姿は 土の下でグングンと太い根を張る タンポポの生命力のように逞しい

そうそう タンポポの根っこは ゴボウのようで きんぴらにすると美味しいのだけど

今夜はきんぴらにしようか

私ももう少し逞しく在りたい。

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